防風通聖散で痩せる!?薬剤師が解説


Last Updated on 2025年1月29日 by machopha

「ダイエットといえば防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」

ダイエットに効果があるとして1.2を争うくらい有名な漢方です。

市販薬のナイシトールも成分の配合割合が違うものの防風通聖散と同じ漢方の薬になります。

でも、なんで漢方で痩せれるの??薬で痩せるなんて怖い…

そのように感じませんか?

どのようなメカニズムで痩せるか、また防風通聖散の服用に適している人はどんな人なのか解説していきます!!

防風通聖散の適応症

まずは防風通聖散がどんな症状に使われるか見ていきましょう。

腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:
高血圧の随伴症状(どうき、肩こり、のぼせ)、肥満症、むくみ、
便秘

(防風通聖散の添付文書より引用)

医師が防風通聖散を使うときは上記の症状に対して処方します。見てわかる通り肥満症が適応にありますね!!

しっかりと臨床試験で効果が認められているものは「添付文書」という薬を適切に使用する際に医療関係者が確認する公的文書に記載されます。(※例外的に添付文書の記載にない使い方をするケースもあります)

肥満症に対する作用機序

防風通聖散は様々な生薬が組み合わさってできていますが、その中に麻黄(マオウ)という生薬があります。

この麻黄中のエフェドリンという成分が交感神経終末からノルエピネフリンの分泌を促進します。ノルエピネフリンは、褐色脂肪細胞(熱産生臓器)の受容体に結合しcAMPの活性化を介して熱産生や全身代謝の活性化を引き起こし、白色脂肪細胞(脂肪蓄積臓器)では脂肪燃焼を促進させることで体重が減少するとされています。

さらにこれだけではありません

通常、cAMPは細胞内ホスホジエステラーゼ(PDE)によりただちに分解され、活性化は短時間で終了しますが、甘草(カンゾウ)、荊芥(ケイガイ)、連翹(レンギョウ)という生薬に含まれるキサンチン誘導体のPDE阻害作用により、cAMPの活性化が持続し、より効果的な脂肪燃焼効果を発揮するとされています。

他にも利尿作用のある滑石(カッセキ)や、消化器に停滞した水分を温めて動きやすくする生姜(ショウキョウ)、便秘改善に期待ができる大黄(ダイオウ)も体重減少に関係しています。

※余談ですが漢方分野では生姜は「ショウガ」ではなく「ショウキョウ」と読みます✨

どんな人に向いているのか?

防風通聖散は体力がある、胃が強い、便秘気味など東洋医学でいう「実証」の方向けの漢方になります。

反対に体力がない、胃が弱い、下痢気味、寒がりなどの「虚証」の方には向かないとされています。

妊婦の方もNGです!!

先ほど説明した便秘に効果のある大黄(ダイオウ)は子宮収縮作用があるので妊婦さんは禁忌になります。

授乳婦さんは禁忌ではないのですが、乳汁に多少なりとも移行するため赤ちゃんが下痢になる可能性があります。避けた方が賢明でしょう。

効果が出るまでの期間

早い方は2週間、遅い方は2か月以上など個人差があるため名言はできません(´;ω;`)

服用を続けることが効果を得るための近道ですが、下痢が続いたり、2~3か月しても効果感じない方に関しては変更の検討が必要かと思います。その際はぜひ薬剤師等の専門家に確認してみましょう✨

以上、ダイエットで有名な防風通聖散の効果や作用機序についてでした!

ツムラやクラシエなど様々なメーカー、市販で売っているナイシトールなど色々販売されていますが、配合の割合が違うだけでおおまかには入っている成分は同じです。

不安な方はお近くの医師や薬剤師などの医療関係者、登録販売員に相談してみてください!!

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