Last Updated on 2024年12月28日 by machopha
「痩せるためには食事制限して運動すればいいんでしょ??」
そんなことはわかっているんですが、それが出来ないから苦労しているんです😡
人間楽して美しくなりたいし、楽してスタイル良くしたいのです。そんな時に
「これを飲むだけ・使うだけでみるみる痩せます!!」
そんな広告見たら「そんな簡単な話があるの??」「副作用あるんじゃないの?」「怪しい薬なんじゃない??」
と感じつつもちょっと興味あるな…となりませんか?
興味あるけど不安…不安だけど興味ある…
この繰り返しですよね。
もうそのループ終わらせちゃいましょう
知識を得れば何も恐れることなく選択ができるようになります。
今回は現役薬剤師の💪ポンポン💪が巷でよく聞くやせ薬に関して詳しく解説していきます。
※サプリメントや一般用医薬品(処方せんなしで購入できる医薬品)に関しては今回扱いません。ご了承ください。
目次
SGLT2阻害薬
Sodium/glucose cotransporter 2(ナトリウム/グルコース共輸送体2)が正式名称となります。
スーグラ、フォシーガ、ルセフィ、デベルザ、カナグル、ジャディアンスなどの商品があります。
皆さん「尿」が毎日出るかと思いますが、ここに注目した薬になります。
排出される尿になるまでには色んな過程を経ているわけですが、SGLT2というのは尿中にあるグルコース(糖分)とナトリウムを血中に再吸収させる役割をもっており、腎臓の近位尿細管と呼ばれる場所でせっせと働いてくれております。なるべく栄養を逃さないようにする効率的な体の仕組みですね。
ここを阻害するお薬ということは何が起こるのか?
グルコースは再吸収されなくなり、そのまま尿から糖分を排出することができます。
1日当たりの量で見ると約60~100g(240~400kcal)の糖を排出してくれます。
1か月続くと考えると約7200Kcalオーバー。体脂肪1㎏を減らすのに必要な消費エネルギーは7200Kcalとされているのでとんでもない量ですよね!!
SGLT2阻害薬の副作用
〇低血糖
ダイエット薬とされている薬の大半が「糖尿病」の薬であるため低血糖の症状には細心の注意を払う必要があります。
軽度であればふらつきやめまい、重症化してくると意識障害に繋がり最悪の場合亡くなるケースもあります。
〇脱水
多尿・頻尿になりやすいため脱水が起きやすくなります。こまめな水分補給を心掛ける必要があります。
〇尿路感染症
SGLT2阻害薬に特徴的な副作用がこの尿路感染症です。糖を尿から排出する薬というのはここまで先ほど説明しましたが、尿中の糖分濃度が高くなっているため細菌が繁殖しやすい環境になっています。そのため他のダイエット薬にはあまり見られない尿路感染症に注意する必要があります。
GLP-1製剤
さあ、来ました☺
ダイエット、痩せるための薬の大本命のGLP-1製剤の登場です。
巷でよく認知されている、よく使われている薬がこの薬です。
ビクトーザ、バイエッタ、リキスミア、トルリシティ、オゼンピック、リベルサス、マンジャロなどの商品があります
そもそもGLP-1とは特別な成分ではなく、普段皆さんの体でも生成されているホルモンなのです。
体の中の血糖が上がるとそれを下げるために膵臓から分泌される「インスリン」が必要になります。このGLP-1というのは食事をとって血糖値が上がったことを膵臓に伝えてインスリンを分泌を促進させる役割を持っています。
これだけではなく、
・血糖値を上げるホルモン(グルカゴン)の分泌を抑制する
・摂取した食物の胃からの排出を遅らせる
・食欲を抑える
などの効果も相まってダイエット業界で引っ張りだこの薬になっています。
1日1回の服用で済む「リベルサス」、週に1回の使用で済む「注射製剤」など幅広い製剤があります。
美容クリニックの広告を眺めてみても、だいたいこのGLP-1製剤を取り上げています。食欲を抑えたりとダイエット向きな薬であることや食事に依存してインスリンの分泌を促すという点からも低血糖のリスクが他の製剤に比べて起きにくいといったメリットがあるからだと思われます。
GLP-1製剤の副作用
〇低血糖
これも糖尿病治療薬なので低血糖症状には注意が必要です。
〇消化器症状
GLP-1製剤で頻発するのが吐き気、便秘、下痢などの消化器症状になります。使用開始直後に起きることが多く、徐々に落ち着いてくる症状とされています。
メトホルミン
メトホルミンも糖尿病治療薬で昔から使われている薬になります。
メトホルミンも体の中でGLP-1の分泌量を増やしてくれるので、食欲低下や胃の中の食物の排出を遅らせるので満腹感が持続し、ダイエットに使われるという仕組みです。
この薬の特徴的な作用としては筋肉での糖利用を促進するという点です。通常、体の中で余分になった糖は脂肪として溜め込むことが多いですが、メトホルミン服用すると筋肉へ糖を溜め込もうとする酵素が活性し、通常よりも筋肉でエネルギーを消費しやすくなります。
メトホルミンの副作用
〇低血糖
これも糖尿病治療薬なので低血糖症状には注意が必要です。
〇乳酸アシドーシス
メトホルミンの重篤な副作用として乳酸アシドーシスがあります。血中の乳酸が蓄積して血液が酸性に傾いた状態になります。吐き気や下痢、筋肉痛のような症状を感じ、これを放置すると昏睡状態に陥り、最悪のケース死に繋がります。
今回はダイエット薬として使用されがちな糖尿病薬のみピックアップして解説しました。
糖尿病薬をダイエット目的で使うのは安全なのか??
💪ポンポン💪はダイエット目的で薬を使用することに関してどう思ってるの?と問われると
30%賛成、70%反対というのが本音です。
まず、賛成と感じる部分に関してですが
・自由診療という保険がきかない中、高いお金を払ってリターンを得ようとする消費者の権利があるため
・生活習慣を改善する気もなく、保険診療で糖尿病治療をしている患者さんも一定数いる
お金払って対価を得ようとする。これは別に不思議なことではありませんし、当たり前なことかと思います。それに自由診療のクリニックに通われている方の中には「運動も食事習慣の改善もせずに高血糖になった患者が保険がきいて、なんで私は自費で高いお金払わないといけないの!」と感じる方もいらっしゃるかと思うので、このような意見も痛いほどわかります。
では、なぜ私が反対に感じる部分が多いのか?説明していきます
・臨床試験で対象になっていたのは糖尿病患者やBMIが高値の方であり、それ以外の人では有用性や安全性が判明していないから
・急性膵炎、乳酸アシドーシス、低血糖症状など重篤な副作用に繋がるリスクがあるから
今後、ダイエット目的だけで使用した際の臨床試験の結果が集まってきたり、現場で定期的な血液検査、薬の飲み合わせなどのフォローアップ体制がしっかり整ってきたりするのであれば薬を使ってダイエットをするという選択肢はアリだと感じています。
現段階ではデータが不十分なことやオンラインのみで薬を配送するなど謳っているサイトもいくつかあるので
「健康を害するリスクが高く、投与後のサポートをしっかりしているクリニックが全てではないため避けた方が好ましい」
これが私の見解です。
食事や運動で健康的に痩せられるのがベスト!!
ただ、今後は研究データの蓄積やフォローアップ体制を強化して体重・体型に悩んでいる方へ薬という選択肢が増えるようになれば最高だなと感じております。
皆さんが安心で納得のいく選択ができる手助けになればと思います。
以前、当時の医師会の理事の方が会見を行い、その内容をまとめたものをネットで見つけたので添付しておきます(詳しく見たい方はご覧ください)
/https://www.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20231025_4.pdf
今回はここまで!!ではまた👋
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